震災に伴う東日本エネルギー危機に関する緊急提言

提言要旨

提言本文

パンフレット「夏の電力不足をみんなで乗り切ろう!!」

本パンフレットは、東京大学横山広美様、秋本祐希様のご尽力により作成されました。(開くのに少し時間がかかります。)

FAQ

本提言の公表以来、多くの方々からご意見を頂いており、誠にありがとうございます。頂いたそれぞれのご意見・こ質問に対するお答えはいたしておりませんが、 提言内容への見直しや反映、政策提言への参考にさせていただいておりますので、ご理解いただけましたら幸いです。以下には代表的なご意見、ご質問に対する回答を掲載します。

今年の夏を乗り切れば大丈夫なのですか?

いいえ、次の冬の需要の供給の目途も十分には立っていません。夏の電力ピークは 13-16時ごろですが、冬の電力ピークは17時-20時ごろであり、夏とは異なる対策が 必要です。また、電力不足は来年以降少なくとも数年間は続くものと思いますので、 継続的に実施することができる対策が必要となります。

夏と冬の電力需要は違うのですか?

冬は暖房の需要が多くなるため朝や夕方に電力需要が大きく、夏は冷房の需要が 多くなるため13-16時に電力需要が最大となります。春や秋は気候もよく暖房や冷房 の需要が小さいため、全体的に需要が小さくなります。こちら がそのイメージです。

なぜ化学工学会が電力に関する提言をするのですか?

様々な対象物を扱う化学工学共通の視点として重要なのは、律速するプロセスや構成要素の限界容量などの定量的なデータ収集を踏まえ、システム全体としてエネルギーと物質の収支を俯瞰的に把握することにあります。今回は、特に、化石燃料、再生可能エネルギー、燃料電池やガスタービンなどの発電システム、ライフサイクルアナリシスや環境に関わる幅広い分野の研究者、技術者が集まっているエネルギー部会のメンバーが中心となり、上記の視点から検討を進めております。

計画停電地域の不公平について

東京電力の判断の理由は私たちはわからないので、お答えすることができません。しかし、報道されているように、計画停電によって社会的に、身体的に弱い方々に特にしわ寄せが行ったり、安全・安心に関わる問題が生じます。また、不公平感もどうしてもぬぐうことができないように思われます、痛みを伴う対策についてもその効果、利点欠点に関する情報を共有し、みんなで協力することによりできる限り計画停電を避けたい、というのが本提案の意図です。

各方策のバックデータや相互作用・相殺効果について

公表の準備を進めています。私たちは個々の対策が単純に削減効果だけを生じるとは考えていません。ただ、今回のような非常時に生じる相殺、相乗効果を定量的に導出することは大変困難です。そこで重要そうな相殺効果が想定される対策については控えめな数値を出すことでなるべく現実と乖離しない提言にするよう努めました。また執筆者以外の専門家の方々からもご協力いただきながら、ひきつづき数値の精査を進めています。また、4月18日開催予定のシンポジウムで議論予定です。

政策への反映について

私たちの提言は、政府機関等からの依頼を受けて行ったものではなく、自主的な活動です。しかし、現在報道機関、関連の官庁・政府、学界など関連各所への直接の提言を行っているところです。引き続きのご支援宜しくお願い申し上げます。

時間的あるいは空間的シフトの実現は難しいのではないですか?

全ての業種において可能であるとは考えておりません。しかしながら、大口需要家では過去にも既に終日シフトを実施したところもあり、 震災後も業界団体ごとの自主的な取り組みで、輪番操業・休業による時間的なシフトが検討され始めております。商店街など地域コミュニティによる取り組みなども期待したと思います。一方、生活の場の移転については、100万人の移転とは、学校でクラスの一人が移動することに相当します。私たちが見積もる50万人であれば2クラスに一人が引っ越すことになります。また、現在、様々な事情で単身赴任しておられる方が夏の間東京電力管外で御家族と一緒に暮らすことなども含め、できるだけ無理なご負担することなく協力できる方法を具体的に御提案できるよう検討しています。

経済的な痛みを伴う施策について

経済停滞による買い控えが予想される中、3-1の買い換えの例は真に電力 費削減になる機器を列挙したものです。エコポイントなどの政策誘導に対して、 限られた国家予算を割り振るのは政治的な判断となりますが、国会や行政な ど関連各所への直接の提言を行っているところです。