男女共同参画委員会 委員長挨拶

委員長挨拶

このたび、辻佳子前委員長の後を受け、男女共同参画委員長を拝命することになりました。
2003年度に設立された化学工学会男女共同参画委員会は、化学工学の多様化、国際化、複雑化に対応できる人材育成とイノベーションの実現を目指して、ダイバーシティー促進の側面から、様々な活動を行ってきました。女性研究者や技術者のネットワークの深化を目指した女性技術者ネットワークや女性技術者フォーラムは、会を重ねるごとにリピーターが増え、当該分野の重要なネットワーキングの場へと熟成しつつあります。また、女性研究者や技術者の方々の様々なロールモデルを紹介する連載「目指せ!ダイバーシティー」は、女性のみならず、すべての会員の方にダイバーシティーの重要性を改めて考えて頂く記事として、好評をいただいています。年会や秋季大会では保育所が整備されるようになり、毎回、数名の参加者のみなさまにご利用いただいています。

自然科学および科学技術関連分野の学協会が集う「男女共同参画学協会連絡会」においても、化学工学会は発足当初の9学会に名を連ねて以来、大規模実態調査でのアンケート作成や結果の解析における主要メンバーとして貢献してまいりました。2017年度には、第15期幹事学会の大役を担い、北川尚美第15期委員長のもと、男女共同参画学協会連絡会シンポジウムを成功裡に終えました。

先人の多大なる努力により、これまでやや感覚的であった女性研究者の窮状は、徐々に定量的に明らかになりつつあります。上述の大規模実態調査でのアンケート解析結果からは、男女格差のみならず、若手研究者全般の窮状も定量的に明らかとなりました。化学工学会の将来を担う若手研究者が、基礎研究に打ち込むことができる環境の整備は、男女を問わず大変重要な課題です。また、当該分野の持続的発展のためには、適切なワークライフバランス実現が重要であることも広く認識されつつあります。

このように課題が定量的に明らかになりつつある現在、ダイバーシティー充実の必要性に対する異論は聞かれなくなりましたが、そのための方法については様々な考え方があり、更なる議論が必要です。化学工学会に集う女性研究者・技術者に情報と交流の場を提供する取り組みと、男女共同参画学協会連絡会を始めとする他組織との連携といった、学会内外での積極的な活動を通して、ダイバーシティー充実に対する化学工学会としての考え方と促進への施策に関する議論を深めていくことが、委員長の責務と考えております。ぜひ、みなさま方のご支援、ご協力、ご参画をお願いする次第です。

2018年6月
男女共同参画委員会委員長 所 千晴
(早稲田大学 教授)