vol.2022-06 (2023.2.28) | 学会本部活動通信

学会本部活動通信2022年度vol.6

2023年2月28日
2021、2022年度化学工学会論文誌編集委員長 外輪健一郎

 化学工学会は英文学術雑誌Journal of Chemical Engineering of Japan (JCEJ)を1968年より発行してきました。JCEJの発刊から半世紀が経過しますが、常に時代に応じた出版体制を維持するための変革を行ってきました。他紙に遅れることなく電子版の発行を開始しましたし、DOIの付与や、ORCIDとの連携も行ってきました。JCEJの魅力を維持するための継続した取り組みを行ってきた結果、多くの良質な学術論文を投稿いただくことができ、高い学術的価値を持った雑誌となっています。化学工学会では、その魅力をより多くの研究者に発信し、JCEJがより多くの研究者に活用されることを目指して2023年の幕開けとともに大きな変革を行いました。

 変革の1つとして、JCEJは国際的な学術雑誌出版社であるTaylor & Francis社から出版されることとなりました。学術雑誌の出版社は雑誌の出版やマーケティングに関する豊富な知識を持っています。Taylor & Francis社の協力が得られることで国際的なパブリシティの一層の向上が期待されます。  購読の形態も変わります。もともとJCEJを含めたほぼすべての学術雑誌はいわゆる購読型の雑誌であり、購読料を支払った読者のみが論文を読むことができました。しかし残念ながら、大手出版社から発行される学術雑誌の購読料の急激な値上がりが大きな問題となっています。一方、2002年にBudapest Open Access Initiativeによってインターネット上で誰でも論文を無料で閲覧可能とするOpen Access(OA)の考え方が定義されました。OAの考え方は世界に広がり、現在では多くのOA雑誌が新規発刊されています。また昔から購読型だった雑誌の多くが、著者が追加料金を支払った論文だけをOAにするというHybrid OA方式を導入しています。ただHybrid OA雑誌では、OA論文が増えるにつれて購読料を支払う意義が薄れるという問題を抱えています。著者の所属大学等で論文を無料公開するGreen OAという方式も広がっていますが、この方式では論文の著作権が出版社にあるため、その無償公開は制限される場合があります。JCEJは全論文を即時無料公開するGold OA雑誌となりました。各国の化学工学会が英文学術雑誌を発行していますが、Gold OA雑誌になるのはJCEJが最初であり、世界に先駆けた改革であると言えます。  OA雑誌では、読者が購読料を支払う必要がない代わりに、著者が手数料(Article Processing Charge, APC)を支払う必要があります。JCEJの2023年のAPCは1,500 USDですが、化学工学会の会員は会員割引が適用され1,050 USDとなります。この割引の適用を受けるには、投稿時にバウチャーコードの入力が必要です。ぜひとも投稿の際には忘れずに入力してください。バウチャーコードは化学工学会ウェブサイトの会員ページに掲載しています。なお、APCは毎年の値上げが計画されていますのでご承知おきください。  化学工学会では各部会に対して、部会会員へのさらなるAPC負担軽減について協力を依頼し、多くの部会から賛同を頂きました。本件の詳細については、施策を行っていただける各部会から部会会員のみなさまに案内があると思います。  雑誌の発行形態も変わります。JCEJの冊子体は2022年で発行を終了し、2023年以降は電子版のみとなります。2022年までは冊子体の発行に合わせるため、ウェブ上で論文が公開されるのも1カ月毎でしたが、これからは採択された論文が順次掲載されます。これによって採択から掲載までの期間が大幅に短縮されます。変わるのはこれだけではありません。ページ番号は廃止となり、代わりにe-locatorという番号が各論文に付されます。Graphical Abstractを掲載することが可能になりました。論文が掲載されているウェブサイトには文章の読み上げ機能も付与されています。ウェブサイトはパソコンだけではなくタブレット端末やスマートフォンにも対応しています。ぜひ新しいJCEJのホームページへアクセスしてください。なおJCEJの情報発信を活性化するため、twitterアカウント(@JChemEngJapan) を開設しました。ぜひフォローいただき、広報活動にご協力ください。  化学工学会ではJCEJの国際的なプレゼンスと学術的価値のさらなる向上を目指してこれからも様々な取り組みを行っていきます。みなさまにおかれましても閲覧、引用、投稿を通じてJCEJを一層ご愛顧くださいますようお願いいたします。  JCEJの新ウェブサイト https://www.tandfonline.com/journals/tjce20
 ツイッター https://twitter.com/JChemEngJapan